原題:Hearts in Atlantis
2001年(米) 上映:1h41
監督:スコット・ヒックス
脚本:ウィリアム・ゴールドマン/スティーブン・キング(原作)
出演:アンソニー・ホプキンス/アントン・イェルチン/ホープ・デイビス/ミカ・ブーレム/デビッド・モース/アラン・テュディック/トム・バウアー/セリア・ウェストン/アダム・ルフェーヴル/ウィル・ロスハー/ディアドゥリ・オーコネル/ティモシー・レイフシュナイダー/他 


50歳になる写真家ボビー・ガーフィールドのもとに幼なじみの訃報が届く。生まれ故郷の小さな町に戻ったボビーはそこで、過去の出来事を思い起こす。それは1960年の夏。11歳のボビーは向かいの家に住む少女キャロルと野球部のスターのサリーの3人で楽しい毎日を過ごしていた。そんなある日、彼と母親リズが二人で住む家の二階に新しい下宿人テッドがやって来た。知的で物静かなその老人にはある不思議な力があった。父を早くになくしたボビーは、そんなテッドに特別な親しみを感じていく。しかし、テッドはその不思議な力のために謎の男たちから狙われていた。歳の離れたテッドと心を開きあい、かけがえのない友達になったボビーは、「野蛮で、情け容赦なく、危険なやつら」からテッドを守ろうと心に決める。そして、男たちはすぐそこまで迫っていた・・・。


S・キング原作ということで、『スタンド・バイ・ミー』('86)の懐かしさと『グリーンマイル』('99) の感動、との宣伝文句でしたが、確かにその通りでした。


上記2作品を足して割ったような作品で、悪くはなかったんですが、何か物足りなかったです。何だか無難に作られている気がしました。


上映時間が短いのにサブプロットを色々と詰め込んだために、どれも軽くさわりだけで終わってしまっています。

「少年が大人に変わる時期の思い出」という内容に少し共感できただけに勿体ないですね。


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アトランティスのこころ 特別版


原題:The Final Cut
2004年(加/独) 上映:1h34
監督:オマール・ナイーム
脚本:オマール・ナイーム
出演:ロビン・ウィリアムズ/ミラ・ソルヴィノ/ジム・カヴィーゼル/ミミ・カジク/トム・ビショップ/ステファニー・ロマノフ/ブレンダン・フレッチャー/ビンセント・ゲイル/ジュヌヴィエーヴ・ビークナー/他


人々が「ゾーイ」と呼ばれるマイクロ・チップを脳に移植し、全人生の記憶をそこに記録している社会。死後、ゾーイ・チップは編集者によって再構成され、追悼上映用の美しい記憶を留めた映像として甦る。ある日、一流のゾーイ・チップ編集者、アラン・ハックマンのもとに、ゾーイ・チップを扱う大企業アイテック社の弁護士チャールス・バニスターの未亡人から編集の依頼が舞い込む。ところがそのチップにアランはずっと自分を苦しめ続けていた幼い頃の記憶を甦らせる映像を発見する。彼は必死になって過去の真案を捜し求めようとするが・・・。


ゾーイ・チップと追悼上映会(リメモリー)の設定はアイディアとして面白く、テーマとしても深いですね。自分が死んだ時には何を遺せるか、遺すべきかということを少しだけ考えさせられました。


自分に関する家族や知人の記憶が、生前全く知らなかった第三者が演出した感動的な編集映像によって総括されるなんて考えただけでゾッとします。やはり自分に関する記憶は、自分自身の生き様で伝えたいものです。


また、何でもかんでも残すのではなく、思い出として記憶に留めておくことも大事だということも強く感じました。

しかしコンセプトとしては良いものの、本作をエンターティンメントという観点から見た場合、主人公の贖罪又は自分探しの旅は「ふーん」という感じで、物語としてはちょっとたいくつでした。


オスカー俳優2人を始めとする演技派を起用しているのに残念です。決してつまらなくはないですが、何度も観たいと思う作品ではないです。


「final cut(ファイナル・カット)」とは、映画の最終カット(劇場で上映されるもの)のことで、編集作業の最終決定権のことを指す場合もあります。


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ファイナル・カット


原題:Fun with Dick and Jane
2005年(米) 上映:1h31
監督:ディーン・パリソット
脚本:ジャド・アパトー/ニコラス・ストーラー/ピーター・トラン
出演:ジム・キャリー/ティア・レオーニ/アレック・ボールドウィン/リチャード・ジェンキンス/アンジー・ハーモン/ジョン・マイケル・ヒギンズ/ジェフ・ガーリン/他


企業の不正会計事件が世間を賑わす以前の2000年。ディック・ハーパーはIT開発企業グローバダイン社に勤務する優秀な社員。愛する妻ジェーンと息子ビルとともに幸せな毎日を送っていた。マイホームも手に入れ、コミュニケーション部長への昇進も決定して、まさに絵に描いたような順風満帆な人生だった。ところが事態は急変、CEOのマカリスターが自社株を売り払い自分だけ大儲けする一方、会社は倒産、社員全員失業という事態に陥ってしまうのだった。すべてを失い、再就職もままならず思いあまったディックは、ジェーンの制止を振り切り、コンビニ強盗を決行するのだが・・・。


ジョージ・シーガルとジェーン・フォンダの共演で1977年に制作された『おかしな泥棒ディック&ジェーン』('77)のリメイク作品。


J・キャリーお得意のドタバタ・コメディですが、意外にもよくまとまっていてそこそこ楽しめました。J・キャリーのオーバーな一人芝居的な演出が抑え気味なのが良かったです。


また、ドタバタとは言っても、あまりに荒唐無稽な展開がなく(グローバダイン社やその倒産劇はエンロンのパロディ)、主人公の置かれた立場がサラリーマンとして微妙にリアルで共感出来るのがポイント。


最後の「仕返し」のやり方はスカッ!とまではいきませんが、なるほどと思えるものでした。


「ディック&ジェーン」とは元々は1930年代から1960年代にかけて米国でプレスクール(幼稚園/保育園)の教材として多く使われた絵本に登場する兄妹の名前です。ディックとジェーンとその家族の日常生活が舞台の物語で、簡単な構文の繰り返しが特長。原題の「Fun with Dick and Jane」は本シリーズのタイトルの一つ「Dick and Jane: Fun with Dick and Jane (邦題:ディック&ジェーン : ディックとジェーンと一緒に)」より。

●関連作品●
『おかしな泥棒ディック&ジェーン』('77)


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ディック&ジェーン


原題:The Bone Collector

1999年(米) 上映:1h58
監督:フィリップ・ノイス
脚本:ジェラミー・イアコーン/ジェフリー・ディーヴァー(原作)
出演:デンゼル・ワシントン/アンジェリーナ・ジョリー/マイケル・ルーカー/クィーン・ラティファー/マイク・マクグローン/ルイス・グズミン/レーランド・オルサー/ジョン・ベンジャミン・ヒッキー/他

捜査中の事故で四肢麻痺となり、失意の日々を送っているライム。そんなある日、ニューヨークを震撼させる事件がおきた。指の肉をそぎ、生き埋めにされた死体が発見されたのだ。死体の連れは未だ行方不明。数々のメッセージを残しながら、数時間おきに被害者を監禁する稀代の連続殺人鬼ボーン・コレクター。証拠も何も残っていない事件に、かつての同僚がライムに助言を求めるが・・・。


J・ディーヴァーの同名小説の映画化。


せっかく他作品には無い面白い設定がありながら、結局、良くも悪くもまとまり過ぎてありがちなシリアル・キラーものになってしまっているのが残念です。主人公が黒人に設定し直されていたのには驚かされましたが。


本作は四肢麻痺となってしまったライムと彼の手足となって動くサックス巡査のコンビが小さな証拠から誘拐された被害者を探してニューヨーク中を駆け回るのが見所のハズなのに、このあたりの描写がおざなりでした。


というのも、それぞれの人物描写がなされていないのでドラマ自体が薄っぺらく感じられてしまいました(申し訳程度に登場した後は全く無視される設定が多過ぎます)。


しかし、何よりもガッカリしたのが犯人の正体が明かされる箇所です。その意外な人物に原作を呼んだ時は驚かされましたが、本作では唐突な印象を受けました。


取って付けたようなエンディングもどうも・・・。


この手のサスペンスものとしてはまぁ合格ラインですが、原作が面白く、期待していただけに少々ガッカリした作品です。


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ボーン・コレクター
ボーン・コレクター [SUPERBIT(TM)]/デンゼル・ワシントン


原題:A Walk in the Clouds

1995年(米) 上映:1h42
監督:アルフォンソ・アラウ
脚本:マーク・ミラー/ハーベイ・ウェイズマン/ロバート・マーク・ケイメン
出演:キアヌ・リーヴス/アイタナ・サンチェス=ギヨン/アンソニー・クイン/ジャンカルロ・ジャンニーニ/アンジェリカ・アラゴン/エヴァンジェリーナ・エリゾンド/フレディ・ロドリゲス/他

第二次世界大戦が終わり、故郷に帰還してきたポールを待ち受けていたのは、妻のすぐにもチョコレート会社のセールスに戻れと言う言葉だった。傷ついた彼はサクラメント行きの汽車の中で、妊娠して男に逃げられた大学院生のヴィクトリアと出会う。厳しい父のいる家には帰れぬと泣きだし、ポールは名前だけの夫となることを提案する。田舎の貧しい娘と思った彼女は、実は代々伝わるブドウ園をもつ由緒ある家庭の娘だった。ポールは「雲」農園と呼ばれるそのブドウ園に伝統的な価値観を見つけ、そこで生活するヴィクトリアに次第に恋してゆく・・・。


1942年のイタリア映画『雲の中の散歩』のリメイク作品。


全く期待せずに観ましたが、予想外に面白かったです。


恐ろしくご都合主義なスト―リー(大体、あんなお人好しの男がいるわけありません)の甘ったるいベタな恋愛物語です。


基本的にラブ・ストーリーは苦手ですが、ヒロインのA・サンチェス=ギヨンの美しさだけでOKと思ってしまった・・・というのは言い過ぎとしても(当たらずも遠からずですが)、本作は笑いあり涙ありで、とてもテンポ良く話が進んでいくので楽しめました。


K・リーヴスの演技はいつも通りのちょっとボォーっとしていますが、本作ではこれがまっていてピュアな主人公のキャラにピッタリです。


何よりも脇をかためる人達がとても魅力的で、冷静に考えればかなり現実離れした主人公二人の人物像にリアリティを持たせていると思います。


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雲の中で散歩