第79回アカデミー賞の候補が1月23日(火)に発表されました。

ゴールデン・グローブ賞の作品賞(ミュージカル/コメディ部門)、助演男優賞(エディ・マーフィー)、助演女優賞(ジェニファー・ハドソン)の3部門を受賞した『ドリームガールズ』が意外にも

主要部門から外されたものの、美術や衣装デザイン、音響賞、歌曲賞(「Listen」、「Patience」、「Love You I Do」の3 曲)等、最多となる8部門でノミネートされました。

続いてゴールデングローブ賞で作品賞(ドラマ部門)を制した『バベル』が監督賞、脚本賞など6部門7ノミネート、英国王室の内情を描いた評価の高い『クィーン』と『Pan's Labyrinth』がそれぞれ6部門に、今回がマーティン・スコセッシの監督賞受賞の6度目の正直となるかが注目される『ディパーテッド』と『ブラッド・ダイアモンド』がそれぞれ5部門に名を連ねました。

今回最も注目されるのは、『バベル』で助演女優賞にノミネートされた菊地凛子。日本人俳優としては、2004年の『ラスト・サムライ』('03) で助演男優賞にノミネートされた渡辺謙以来、3年ぶりとなります。

『バベル』はモロッコ、米国、メキシコ、日本の出来事を通じて人間同士のつながりを描いた作品。これがハリウッドデビュー作となる菊地は心の傷を抱えた耳の聞こえない日本の女子高生役の熱演が欧米メディアから絶賛され、米放送映画批評家協会賞、ゴールデン・グローブ賞、米映画俳優組合賞の助演女優賞にもノミネートされました。

1957年の『サヨナラ』で第30回アカデミー賞の助演女優賞に輝いたナンシー梅木以来、49年ぶりのオスカー獲得の期待がかかります。

パリでノミネートされたことを聞いた菊地は、「大変光栄です。パリにいてこんな素晴らしいニュースをいただけてすごくうれしいです。両親にいいプレゼントになりました。(アカデミー発表の)当日、また会場でみんなに会えるのが楽しみです」と喜びのコメントを寄せました。

他に日本関連作品では、渡辺謙が主演のクリント・イーストウッド監督の第二次大戦ドラマ『硫黄島からの手紙』が作品賞と監督賞など計4部門にノミネートされています。

出演した嵐の二宮和也は「もちろんまだノミネートの段階ですが、何という幸せ者なのでしょうか」と喜びのコメントをしています。

そしてもう1人、これらの陰に隠れてしまって目立ちませんが、メイクアップ賞で『もしも昨日が選べたら』 を手掛けた辻一弘がノミネートされ、「候補入りは大変光栄です」と本人は喜びを語っています。

同作では、主人公が時代と共にに年齢を重ね容姿が変わる様子が特殊メイクで表現されました。

注目のアカデミー賞の授賞式は2月25日(日)(日本時間26日(月))、ハリウッドのコダック・シアターで行われます。今年の司会はエレン・デジェネレスが務めます。

今年のノミネートは次の通り:

●作品賞
『バベル』
『ディパーテッド』
『硫黄島からの手紙』
『リトル・ミス・サンシャイン』
『クィーン』

●監督賞
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(『バベル』)
マーティン・スコセッシ(『ディパーテッド』)
クリント・イーストウッド(『硫黄島からの手紙』)
スティーブン・フレアーズ(『クィーン』)
ポール・グリーングラス(『ユナイテッド93』

●主演男優賞
レオナルド・ディカプリオ(『ブラッド・ダイアモンド』)
ライアン・ゴスリング(『Half Nelson』)
ピーター・オトゥール(『Venus』)
ウィル・スミス(『幸せのちから』)
フォレスト・ウィテカー(『ラスト・キング・オブ・スコットランド』)

●主演女優賞
ペネロペ・クルス(『ボルベール/帰郷』)
ジュディ・デンチ(『Notes on a Scandal』)
ヘレン・ミレン(『クィーン』)
メリル・ストリープ(『プラダを着た悪魔』)
ケイト・ウィンスレット(『リトル・チルドレン』)

●助演男優賞
アラン・アーキン(『リトル・ミス・サンシャイン』)
ジャッキー・アール・ヘイリー(『リトル・チルドレン』)
ジャイモン・ハンスゥー(『ブラッド・ダイアモンド』)
エディ・マーフィー(『ドリームガールズ』)
マーク・ウォールバーグ(『ディパーテッド』)

●助演女優賞
アドリアナ・バラッツァ(『バベル』)
ケイト・ブランシェット(「Notes on a Scandal」)
アビゲイル・ブレスリン(『リトル・ミス・サンシャイン』)
ジェニファー・ハドソン(『ドリームガールズ』)
菊地凛子(『バベル』)

●脚本賞
『バベル』
『硫黄島からの手紙』
『リトル・ミス・サンシャイン』
『Pan's Labyrinth』
『クィーン』

●脚色賞
『ボラット』
『トゥモロー・ワールド』
『ディパーテッド』
『リトル・チルドレン』
『Notes on a Scandal』

●長編アニメ賞
『カーズ』
『ハッピー・フィート』
『モンスター・ハウス』

●美術賞
『ドリームガールズ』
『The Good Shepherd』
『Pan's Labyrinth』
『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』
『The Prestige』

●撮影賞
『ブラック・ダリア』
『トゥモロー・ワールド』
『The Illusionist』
『Pan's Labyrinth』
『The Prestige』

●衣装賞
『Curse of the Golden Flower』
『プラダを着た悪魔』
『ドリームガールズ』
『マリー・アントワネット』
『クィーン』

●編集賞
『バベル』
『ブラッド・ダイアモンド』
『トゥモロー・ワールド』
『ディパーテッド』
『ユナイテッド93』

●外国語映画賞
『After the Wedding』(デンマーク)
『Days of Glory』(アルジェリア)
『善き人のためのソナタ』(ドイツ)
『Pan's Labyrinth』(メキシコ)
『Water』(カナダ)

●メイクアップ賞
『アポカリプト』
『もしも昨日が選べたら』
『Pan's Labyrinth』

●作曲賞
『バベル』
『The Good German』
『Notes on a Scandal』
『Pan's Labyrinth』
『クィーン』

●歌曲賞
「I Need to Wake Up」(『不都合な真実』)
「Listen」(『ドリームガールズ』)
「Love You I Do」(『ドリームガールズ』)
「Our Town」(『カーズ』
「Patience」(『ドリームガールズ』)

●音響効果賞
『アポカリプト』
『ブラッド・ダイアモンド』
『ドリームガールズ』
『父親たちの星条旗』
『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』

●音響編集賞
『アポカリプト』
『ブラッド・ダイアモンド』
『父親たちの星条旗』
『硫黄島からの手紙』
『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』

●視覚効果賞
『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』
『ポセイドン』
『スーパーマン・リターンズ』

●短編作品賞(アニメ作品)
『The Danish Poet』
『Lifted』
『The Little Matchgirl』
『Maestro』
『No Time for Nuts』

●短編作品賞(実写作品)
『Binta and the Great Idea (Binta Y La Gran Idea)』
『Eramos Pocos (One Too Many)』
『Helmer & Son』
『The Saviour』
『West Bank Story』

●ドキュメンタリー作品賞(長編)
『Deliver Us From Evil』
『不都合な真実』
『Iraq in Fragments』
『Jesus Camp』
『My Country, My Country』

●ドキュメンタリー作品賞(短編)
『The Blood of Yingzhou District』
『Recycled Life』
『Rehearsing a Dream』
『Two Hands』

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