原題:Elizabeth
1998年(英) 上映:2h04
監督:シェカール・カプール
脚本:マイケル・ハースト
出演:ケイト・ブランシェット/ジェフリー・ラッシュ/クリストファー・エクルストン/ジョセフ・ファインズ/リチャード・アッテンボロー/ファニー・ファルダン/キャシー・バーグ/エリック・カントナ/ジェームズ・フレイン/ヴァンサン・カッセル/ジュン・ギールグッド/ダニエル・クレイグ/他 

★アカデミー賞★ メイクアップ賞

旧教(カトリック)と新教(プロテスタント)の争いが激化する16世紀のイングランド。エリザベスは、3歳で私生児の烙印を押され、21歳で反逆罪でロンドン塔に幽閉される。しかし、腹違いの姉で彼女をロンドン塔に幽閉したメアリー女王の崩御後、世継ぎとして若干25歳の若さで史上二番目のイングランド女王に即位する。強国スペインとフランスの脅威にさらされ、'私生児'エリザベスの王位継承に疑問を投げかけるスコットランドも国境を脅かす。国内でも血塗られた宗教論争と、大貴族たちの権力闘争が渦巻き、まだ2流国に過ぎないイングランドの財政は極めて逼迫していた。エリザベスには愛する恋人ダドリーがいたが、女王の立場は関係の緊迫した隣国との政略結婚を迫る。様々な謀略が渦巻き絶えず命を狙われるエリザベス。スペイン王、フランス王子・・・若き独身の女王に群がる求婚者たちを尻目に、スキャンダルの的となりながらもダドリーとの逢瀬を重ねていた。外国人と結婚すればイングランドを属国扱いにされかねないし、国内の貴族のひとりを選べば反対派の妬みを買う。宰相のセシルは早く結婚して世継ぎを設けて欲しいと切望しているのだが。カトリックの最高権力・ローマ法王からの暗殺司令、大貴族ノーフォーク公をはじめとした旧教派の陰謀、刺客・・・迫り来る危機と混乱の中で、いかにしてエリザベスは'女'を、そして'人間'を超越し、ヴァージン・クィーンとして君臨するに至ったか・・・?


アカデミー賞にノミネートされたというだけあって衣装や美術等のビジュアルはとても美しかったのですが、肝心のドラマの方がイマイチでした。


内容自体は悪くないのですが、歴史の教科書をなぞったような感じに歴史的事実をタンタンタンと並べられたようでした。テンポが非常に良いので観ていて飽きませんが、これでは逆に相当歴史の知識が無いと、エリザベスの一人の女性としての姿はなんとなくは分かっても、物語全体は良く分からないと思います。


また、史劇である以上は仕方ないことですが、登場人物が多いのも混乱に拍車をかけてました。


とは言え、キャストがなかなか味があって良かったと思います。特に、最初はごく普通の女性であったのが、数々の裏切りによってどんどんたくましく強い女性になっていくエリザベスを演じたC・ブランシェットは凄いと思いました。


なお、本作ではドラマを優先させるために、ローマ法王からの破門宣告、ウォルシンガムの出仕、ノーフォーク公の処刑、フランス王子の来英等、さまざまな出来事を多少時代をずらして作品に取りいれていて、これらは本来はもっと後の出来事です。


また、本作では老人となっていたウィリアム・セシルは、実際はエリザベスとは一回りほどしか違わず、これほど早く引退せず、死ぬ間際までウォルシンガムと共に約40年間女王の傍で仕えました。スコットランドのメアリー・オブ・ギースの暗殺や、ダドリーの陰謀荷担もフィクションです。


●関連作品●
『エリザベス:ゴールデン・エイジ』('07)


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