原題:No Country For Old Men
2007年(米) 上映:2h02
監督:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン

脚本:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン/コーマック・マッカーシー(原作)

出演:トミー・リー・ジョーンズ/ジョシュ・ブローリン/ハビエル・バルデム/ウッディ・ハレルソン/ケリー・マクドナルド/ギャレット・ディラハント/テス・ハーパー/バリー・コービン/他


★アカデミー賞★ 作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞


人里離れたテキサスの荒野でハンティング中に、銃撃戦が行われたと思しき麻薬取引現場に出くわしたベトナム帰還兵ルウェリン・モス。複数の死体が横たわる現場の近くで、200万ドルの大金を発見した彼は、危険と知りつつ持ち帰ってしまう。その後、魔が差したのか不用意な行動を取ってしまったばかりに、冷血非情な殺人者アントン・シガーに追われる身となってしまう。モスは、愛する若い妻カーラ・ジーンを守るため、死力を尽くしてシガーの追跡を躱していく。一方、老保安官エド・トム・ベルもまた、モスが最悪の事件に巻き込まれたことを知り彼の行方を追い始めるが、モスを保護できないまま、死体ばかりが増えていく事態に直面し、苦悩と悲嘆を深めていく・・・。

C・マッカーシーの小説「血と暴力の国」の映画化作品。


アカデミー賞の主要部門を4部門受賞していますが、コーエン兄弟の作品ということで、所謂、娯楽作品ではないので万人向けではないと思います。


少なくとも本作が犯罪サスペンスと考えて観ると肩透かしを食らいます。どちらかというと「滅び行く運命にある者たち」を描いた人間ドラマに近いです。


全編に渡って漂う緊張感がとにかくすごかったです。なにせ作品中に音楽がほとんどありません。


多方面で言われていますが、特にシガー役のH・バルデムのアカデミー助演男優賞受賞は伊達ではありません。強烈な存在感をかもし出していました。よく批評などでハンニバル・レクターとの比較が見られますが、全くことなるベクトルに存在するキャラと感じます。


少々後味が悪いままフェードアウトして、後からジリジリと来て考えさせられる類の作品です。一見の価値はあると思いますが、もう一度観たいとは思いません。


原題の「No Country for Old Men(ノー・カントリー・フォー・オールド・メン)」は、「老人のための国は無い」という意味ですが、元々はアイルランドの詩人ウィリアム・バトラー・イェイツの詩「ビザンティウムへの船出(Sailing to Byzantium)」の冒頭の一文「That is no country for old men.(老人の住むところではない。)」からの引用です。


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