原題:Nosferatu the Vampire (Nosferatu, eine Symphonie des Grauens)
1922年(独) 上映:1h24
監督:F・W・ムルナウ

脚本:ヘンリック・ガレーン/ブラム・ストーカー(原作) 

出演:マックス・シュレック/アレクサンダー・グラナック/グスタフ・フォン・ワンゲンハイム/グレタ・シュレーダー/他


1838年。ヴィスボルクの町の不動産屋のノックのもとに一通の手紙がくる。トランシルヴァニアのオルロク伯爵が、ヴィスボルクの町の屋敷を買いたいというものであった。ノックは物件の契約の為、青年のフッターにオルロク伯爵のもとを訪ねさせる。最愛の妻、エレンを残して旅に出たフッターであったが、奇妙な出迎えやオルロク伯爵の態度に動揺する。翌日、フッターは自分の首に2ヶ所の傷跡があるのを見つける・・・。


吸血鬼映画の元祖とも言える作品。版権の関係から登場人物などの名称が異なりますが、内容はB・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」です(因みに、このことが原因でB・ストーカーの未亡人に告訴されオリジナルネガは破棄されました)。


作品全体としてのホラー度は低いのですが(町に到着した後、新しい屋敷まで自分で棺桶を脇に抱えて運ぶ姿はお茶目)、いくつかのシーンは現在でも通用するぐらい印象的でした。サイレント映画であることが更に不気味さを増している気がします。


特にM・シュレック演じる、丸坊主に尖った耳でネズミのような容姿のオルロク伯爵は相当なインパクトがあります。色男でダンディな吸血鬼像の元祖が『魔人ドラキュラ』(’31)のB・ルゴシだとすると、本作のオルロク伯爵はより動物的な吸血鬼の原型と言えます。


ペストという疫病を具現化した存在と設定されている点は、後年の吸血鬼作品と異なります。


なお、日本で発売されている廉価版DVDは上映時間が30分も短い1929年のアメリカ公開版なので注意が必要です。


本作は既に著作権が切れているので、正式版がインターネットで合法的に無料ダウンロード出来ます。


●関連作品●

『ノスフェラトゥ』('78)


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■DVD■

吸血鬼ノスフェラトゥ/マックス・シュレック
吸血鬼ノスフェラトゥ 新訳版