原題:Epic Movie
2007年(米) 上映:1h32
監督:ジェイソン・フリードバーグ/アーロン・セルツァー

脚本:ジェイソン・フリードバーグ/アーロン・セルツァー

出演:カル・ペン/アダム・キャンベル/ジェイマ・メイズ/フォーン・チェンバース/ジェニファー・クーリッジ/クリスピン・グローバー/トニー・コックス/ダレル・ハモンド/カーメン・エレクトラ/フレッド・ウィラード/他


ルーヴル美術館から暗殺者の手を逃れてきたルーシー、メキシコの「リブレ」・レスリングから逃亡したエドワード、搭乗していた飛行機でヘビの大群にハイジャックされたスーザン、そして「ミュータントX」・コミュニティの平凡な住人ピーターの何の接点もない4人は、「エピックなアドベンチャー」と書かれた黄金のチケットを手に入れ、憧れのチョコレート工場へ見学に行く。しかし、工場長ウォンカによって材料にされそうになった4人は魔法の洋服箪笥に隠れると、今度は(グ)ナルニア国という別世界に迷い込んでいた。またそこは、白いアバズレ魔女の脅威で存亡の危機に立たされている。そして4人は、(グ)ナルニアの平和を守るため魔女へ戦いを挑むのだが・・・。


『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』(’05)をストーリーの中心に据え、『チャーリーとチョコレート工場』('05)『ダ・ヴィンチ・コード』('06)『スーパーマン・リターンズ』('06)『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』('06) 、『ナチョ・リブレ/覆面の神様』(’06)、『スネーク・フライト』(’06)、『ボラット』('06)『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』('07) 、、『ハリー・ポッター』などの最近のヒット作品をネタにしたパロディ映画です。


ちょっと無理矢理なものもありますが、よくもこれだけ異なるジャンルの作品を織り交ぜたなぁと感心します。ただ、よく各シーンやキャラを再現してはいるものの(個人的にはジャック・スワローズが良かったです)、「モノマネ」の域を出ていなくて、笑いにまで昇華できていません。


パロディの上手さでではなく、内容とあまり関係のない下ネタやお下劣ネタで笑いを取ろうとしているのが残念。


原題の「Epic Movie(エピック・ムービー)」は「大作」という意味です。パロディしている元ネタの大部分がハリウッド大作であることへの皮肉でしょう。


邦題の「鉄板英雄伝説」は、田中芳樹によるSF小説「銀河英雄伝説」をモジったものです。原題の「epic」には「英雄的な」という意味もあるので、そこからの発想と思われます。「鉄板」は、確実に笑いが取れる話・ネタなどを指す芸能界の業界用語から(本作の出来はそれには程遠いと思いますが)。


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鉄板英雄伝説 (特別編)


原題:Borat: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan
2006年(米) 上映:1h24
監督:ラリー・チャールズ

脚本:サシャ・バロン・コーエン/ピーター・ベイナム/アンソニー・ハインズ/ダン・メイザー

出演:サシャ・バロン・コーエン/ケン・ダヴィティアン/パメラ・アンダーソン/ルネル/他


アメリカの文化をリポートする番組制作の為、カザフスタンよりNYにやってきた突撃テレビレポーター:ボラット。ある日TVドラマ「ベイウォッチ」の再放送で目にしたアメリカの聖女パメラ・アンダーソンに一目惚れ。彼女を妻に娶ろうと、いざ彼女の住むLAへ!ボラットあるところに事件あり。文化間の違いによるドタバタ珍道中の果てに、ボラットはパメラに出会うことができるのだろうか??


カザフスタン人の突撃テレビレポーターという設定のボラットが全米各地で騒動を巻き起こすというニセ・ドキュメンタリー作品。


と言っても、ボラットと彼に同行するプロデューサー、黒人娼婦、そして本人役で出演のP・アンダーソン以外は役者ではありません。


ストーリーは一応、用意したというレベルで、本質的にはどうでも良い扱いで、各地でやらかす出来事をつなげた内容となっています。


異文化のギャップそのものを楽しむというよりも、自分と全く違う価値観を持つ人が自分達のタブーに触れた時のアメリカ人(特にブルーカラー)の反応を笑おうという作品です。タブーだけあって、政治、宗教、人種のネタが目白押しです。


自分達の価値観が絶対と信じて疑わないアメリカ文化を強烈に皮肉っているシーンは笑えますが、例えば2人が会議開催中のイベントホールに乱入して全裸バトルを繰り広げるのはただの悪趣味でやり過ぎと思いました。


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ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(完全ノーカット版)髭&MANKINI水着付なりきりBOX (Amazon.co.jp仕様)


原題:House on Haunted Hill

1999年(米) 上映:1h32
監督:ウィリアム・マローン
脚本:ディック・ビーブ
出演:ジェフリー・ラッシュ/ファムケ・ヤンセン/テイ・ディグス/アリ・ラーター/ブリジット・ウィルソン/ピーター・ギャラガー/クリス・カッテン/他

かって医学の名の元に悪魔のような人体実験の行われたバナカット精神病院。だが、その秘密は狂気の実験を繰り返してきたバナカット博士と患者たちの死によって、すべては闇に葬られたはずだった。呪われた「館」はそのままの姿で、今もそこにあった・・・新しい血を欲しながら。数十年を経て、テーマパークのプロデューサーであり、人を支配して恐怖に陥れることに快感を覚える大富豪のスティーブン・プライスは、わがままな妻エブリンの誕生パーティーを今では廃虚となっているバナカット精神病院跡で開こうと計画する。そして5人の男女が集められる。それは奇妙な招待だった・・・そこで一夜を明かせば、報酬は1億円、条件はただひとつ・・・生き残ること!何が起こるかわからない、恐怖の夜の始まりだった・・・。血に飢えた館の中で、生き延びることが出来る者は誰か?


『地獄へつづく部屋』('58) のリメイク作品。随分と思い切った邦題(笑)。


お約束どおりの展開ですがテンポもよく、ホラー映画としてはまぁまぁの出来でした。「怖い」というよりもどちらかというと「気味悪い」(特に効果音)というのが相応しいと思います(それが狙いなのでしょうけど)。


ただ、適度にお笑いを交えるのは最近の風潮としても、単純な「幽霊屋敷」の構図に登場人物同士の愛憎劇を盛り込んだために、恐怖演出が中途半端な感じがしてしまったのは残念。


特筆すべきはその映像表現で、同時期の公開で同じく怨霊を題材にした『ホーンティング』('99)がありますが、「怨霊」というもののビジュアルとしては初めて納得できるものを見た気がしました。


●関連作品●

『地獄へつづく部屋』('59)

『TATARI タタリ/呪いの館』


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TATARI タタリ


原題:House on Haunted Hill
1959年(米) 上映:1h20
監督:ウィリアム・キャッスル

脚本:ロブ・ホワイト 

出演:ビンセント・プライス/キャロル・オーマート/リチャード・ロング/アラン・マーシャル/エリシャ・クック/レオナ・アンダーソン/キャロリン・クレイグ/他


不思議な伝説をもつ丘の上の幽霊屋敷を大富豪フレデリック・ローレンが借りうけた。彼は美しい妻アナベラに「絞首が館のパーティ」を計画させて、お客を招待した。集まったのは、お金に困っている者4名と家の所有者。招待客に対しフレデリックは、無事一夜をここで明かしたものに1万ドルを与えると約束した。呪われた屋敷の中で、果たして無事に朝まで過ごす事が出来るのだろうか・・・。


かなり前に観たリメイク版 は完全にオカルト系でしたが、オリジナルとリメイクは導入部分が同じだけで後は全くの別ものでした。


本作はホラーというよりはサスペンス・スリラーという内容です。所々に観客を驚かそうとする仕掛けはありますけど。


ただ、当時はショッキングな映像だったのかも知れませんが、今観るとやはり少し古臭さは否めません。まぁ、この辺は元々B級テイストを狙った作品なのでご愛嬌でしょう。


それにしてもV・プライスがとにかく胡散臭いです。本作を機に彼の出演作品はホラー映画中心となっていきます。


本作は既に著作権が切れてインターネットで合法的に無料ダウンロード出来るので、この時代の作品に興味のある方は一見の価値はあると思います。


●関連作品●
『TATARI タタリ』('99)


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地獄へつづく部屋


原題:Nosferatu the Vampire (Nosferatu, eine Symphonie des Grauens)
1922年(独) 上映:1h24
監督:F・W・ムルナウ

脚本:ヘンリック・ガレーン/ブラム・ストーカー(原作) 

出演:マックス・シュレック/アレクサンダー・グラナック/グスタフ・フォン・ワンゲンハイム/グレタ・シュレーダー/他


1838年。ヴィスボルクの町の不動産屋のノックのもとに一通の手紙がくる。トランシルヴァニアのオルロク伯爵が、ヴィスボルクの町の屋敷を買いたいというものであった。ノックは物件の契約の為、青年のフッターにオルロク伯爵のもとを訪ねさせる。最愛の妻、エレンを残して旅に出たフッターであったが、奇妙な出迎えやオルロク伯爵の態度に動揺する。翌日、フッターは自分の首に2ヶ所の傷跡があるのを見つける・・・。


吸血鬼映画の元祖とも言える作品。版権の関係から登場人物などの名称が異なりますが、内容はB・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」です(因みに、このことが原因でB・ストーカーの未亡人に告訴されオリジナルネガは破棄されました)。


作品全体としてのホラー度は低いのですが(町に到着した後、新しい屋敷まで自分で棺桶を脇に抱えて運ぶ姿はお茶目)、いくつかのシーンは現在でも通用するぐらい印象的でした。サイレント映画であることが更に不気味さを増している気がします。


特にM・シュレック演じる、丸坊主に尖った耳でネズミのような容姿のオルロク伯爵は相当なインパクトがあります。色男でダンディな吸血鬼像の元祖が『魔人ドラキュラ』(’31)のB・ルゴシだとすると、本作のオルロク伯爵はより動物的な吸血鬼の原型と言えます。


ペストという疫病を具現化した存在と設定されている点は、後年の吸血鬼作品と異なります。


なお、日本で発売されている廉価版DVDは上映時間が30分も短い1929年のアメリカ公開版なので注意が必要です。


本作は既に著作権が切れているので、正式版がインターネットで合法的に無料ダウンロード出来ます。


●関連作品●

『ノスフェラトゥ』('78)


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吸血鬼ノスフェラトゥ/マックス・シュレック
吸血鬼ノスフェラトゥ 新訳版